私のウチナーグチ考

シーサー シーサー

私のウチナーグチ考

1960年生まれ、一緒に住んでいた祖母や両親との会話は100%標準語、祖母、 両親間の会話は100%ウチナーグチで、それを聞いて育った私なりのウチナーグチに対する思い出や思 い入れを紹介します。

第1回 めんそーれー

「荻堂さん、沖縄の言葉でいらっしゃいませ、ってめんそーれーって言うんだよね。」あるときヤ マトゥンチューの友人に言われました。そうだよ、と軽く答えてはみたものの、よく考えてみると違和 感があります。確かに、那覇市の空港に降り立つと最初に目に入ってくるウチナーグチは「めんそーれー」 でしょう。また、観光お土産品店には必ずといっていいほど「めんそーれー」の看板やステッカーがあふ れています。それで、県外の人は「あ、いらっしゃいませっていう意味ね。」と自動的に思うのでしょう が、私には何となくしっくりこないものがあります。

よくよく考えてみると、沖縄で生まれ育った私はお店に入って「めんそーれー」と言われたことが ないのです。「ごめんください」(これはウチナーグチで何と言うのでしょうか)とお店に入ると 「いらっしゃいませ」と返されるか、愛想のない店主・店員の場合は無言だったように思います。方言 しか話せないようなオバアが店番しているような一銭まちや(駄菓子屋)でも、大体無言で迎えたので はないでしょうか。大人と一緒に買い物をする時は「ハイサイ」(女の人はハイタイ?)と迎えられたような気がします。

私の中では「めんそーれー」は単独で使われる言葉ではなく、おばさん達がおばあさんに向かって 言っていた「ゆくてぃめんそーれー(休んでいって下さい)」「よーんなーめんそーれー(ゆっくり いらして下さい)」といった会話の中の敬語といった印象の方が強いです。しかも、覚えているのは 女の人が使っている場面がほとんどなので、女言葉といった印象もありますが、本当のところはどう なのでしょうか。

また、この「よーんなーめんそーれー」または「よーんなーめんそーりよー」には言外に急がず焦 らず、どうぞ「ご無事で」といういたわりの意味も感じられて、とても好きな言い回しです。

この頃は車に乗って移動することが多いせいか「ゆくてぃめんそーれー」や「よーん なーめんそーれー」といった言葉を聞かなくなったような気がします。さまざまな困難にも負けず(寄 る年波とか暑さとか)目的地に向かって敢然と歩いていくオバア達の姿も、懐かしく思い出されます。 「ゆくてぃめんそーれー」「よーんなーめんそーれー」は何につけてもスピードと効率が重視され、つ い急ぎ頑張ってしまう私たち現代人が、実は一番掛けてもらいたい言葉かもしれません。

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