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[ちゃんぷるー・どっとこむ開設記念寄稿]
沖縄そば屋
巡り
文・写真
稲福 達也
【其の二】マチグワーのそば
那覇の国際通りが観光みやげ通りと化して久しいが、先日、数年ぶりに平和通りを歩いてみたら、そこ
も観光客相手の店が増えているのに驚いた。
子供の頃、母と一緒に首里から那覇の
市場
へ行くと、帰りに市場の食堂でそばを食べさせてくれるのがとにかく楽しみだった。明治生まれの父は
、食事は自分の家でするものという考えの堅物だったから、父と出かけると用を済ませてさっさと家に
帰り、そばにありつくことはなかった。母はそれを不憫に思ったのかもしれない。時々、母は父に内緒
で映画にも連れて行ってくれた。
そんなことを思い出して市場の食堂に入ってそばを食べた。年輩の女性の客が二人いて、食事を済ま
せてお喋りをしていた。側のパイプ椅子に置いた買い物袋からゴーヤーが顔を出している。そこは、地
元の買い物客にとって、食事だけでなく気安く一息つける場所でもあるのだ。子供の頃の私にも居心地
の良かったそんな市場の食堂も、いずれ観光や開発の波に洗われるのだろうか。
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