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[ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

くわっちーさびら・その3

 

文・写真 稲福 達也

黒潮のロマン

 伊勢湾を巡る旅で渥美半島の伊良湖岬に行った。そこは、日本民俗学の父とよばれる柳田国男が、若 き日に流れ着いた椰子の実を拾った恋路ヶ浜という渚があり、その話を柳田から聞いた島崎藤村が「椰 子の実」の詩を作ったという所である。しかし、私の旅の目的は、漂着した椰子の実から日本人の祖先 は黒潮の海上の道で渡来したと考えた柳田や“流離の(うれい )”を詠んだ藤村には程遠く、牡蠣(かき) や大あさりなどの“マーサムン(ごちそう) ”に惹かれただけのことだ。
 
 ただ、「椰子の実」にちなんだ渥美町観光協会のイベントは興味深かった。“波に のせ想いは遙か恋路ヶ浜”というプレートを付けた椰子の実の持ち主を募集して、1600q離れた沖縄の 石垣島を“名も知らぬ遠き島”に見立てて石垣島の沖から流し、黒潮に乗って漂着した椰子の実を拾っ た人とその持ち主を渥美町の観光へ招待するのだ。このイベントは昭和63年から開催され、椰子の実は 各地にたどりついたが、肝心の伊良湖に初めて漂着したのは平成13年のことだった。その年6月24日に 投流した94個のうちの1個を8月3日に友人と貝採りをして遊んでいた高校生が見つけた。実に挑戦 14年目のことで、諦めかけていた渥美町民はその快挙に湧いたという。 恋路ヶ浜
恋路ヶ浜
    観光振興のアイディアとはいえ、黒潮のロマンが漂ういいイベントだ。今や“何でも満ち足りていて、 無いのは夢だけ”と揶揄(やゆ)される時代だけ になおさらだ。今年から私も椰子の実の持ち主に応募し、黒潮が運ぶ私の椰子の実を日本のどこかで誰 かが拾うことを夢見ることにしよう。



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ちゃんぷるーより後日譚:

稲福氏はその後本当に椰子の実の持ち主に応募し、見事次のような葉書をもらったそうです。椰子の 実が無事どこかに漂着し、同氏が渥美町に招待されることを願って止みません。6/17/05


絵はがき

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