［ちゃんぷるー・どっとこむ 応援団 (チバリヨー) 寄稿]

くわっちーさびら・その１４

噂の真相

沖縄の港川人は日本で最古の人類で、その化石人骨の写真ではよくわからないが、八重 瀬町（旧具志頭村）の歴史民俗資料館にある復元した顔の絵を見ると、今のウチナーンチュによく似てい る。太い眉と二重瞼の目、りっぱな鼻、厚い唇・・・もしかするとウチナーンチュは旧石器時代以来ちっ とも進化していないのではないかと思われるくらいだ。しかし、近年の沖縄の若者の活躍は目覚ましく、 そのウチナー顔(チラ)でスポーツ界や芸能界を駈け 巡り、県民に自信と誇りと夢を与えている。

港川人の顔（歴史民俗資料館パンフより）

　 　さて、私が勤める高校の修学旅行で白老町のアイヌコタンを見学した時のことだ。立派な髭に民族衣装 を纏ったアイヌのガイドが、初めに「皆さんは沖縄から来たそうだね、僕は沖縄に行ったことはないが、 美人が多いという噂は聞いてるよ」と言った。 女生徒が笑いながらウン、ウンと頷く。その時彼女達の 頭の中には、ゴルフの宮里藍、アムラーという社会現象を生んだ安室奈美恵、『ちゅらさん』の国仲涼子 や今年のＮＨＫ大河ドラマの仲間由紀恵など、自分と同じ二重瞼の沖縄出身のヒロイン達の顔が浮かんで いたかも知れない。ところが女生徒を見回してからガイドが付け加えた。「でも、美人が多いというのは 噂だけだったんだね。」このオチは男生徒に大ウケで、私は彼らよりひときわ大きく笑い、隣にいた女生 徒に睨まれた。巧みに笑いを誘いながらアイヌ民族の文化や生活についてガイドの説明が終わると、待っ てましたとばかりに一人の女生徒が質問した。「この仕事が終わったら山へ帰るんですか？」後で聞 いた話では、その女生徒は“噂の真相”のジョークにリベンジがしたかったのだそうだ。

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