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今月のレビュー

このページでは、沖縄関連の本、音楽、コンサート、映画などを論評(レビュー)していきます。

今月は、2012年2月19日に新宿区大久保で開催された 第9回 沖縄かりゆし寄席 IN アートコート です。 

出演者
◎秋葉シーサーズ
しゃもじ
◎與那嶺商会
藤木勇人
◎柳家紫文
◎晃(元フィンガー5)
◎與座嘉秋
キャン×キャン
◎しゃも×キャン
すでに4、5回は観ているこの寄席、最後に見た回の出来がイマイチだったし、寒いし、 今回はどうしようかな、と思っていた私の背中を押したのは、夜の部のゲストが元フィンガーファイブ の晃だったから。いえ、特にファンだったわけではありませんが、同世代の国民的アイドルグループの ボーカルで、マイケル・ジャクソンばりの見事なハイトーンボイスで一世を風靡した晃の今を見てみたい、 という興味、野次馬根性があったのです。

開場間際に慌てて会場に駆けつけると、玄関横の喫煙コーナーでタバコを吸っているらしい晃を発見し ました。通り過ぎてから、ん?晃?と思い、さしたる理由もなく確信したしたのですが、パッと見格好 良く、かすかにスターのオーラが漂っていたからかもしれません。初めての会場アートコートでしたが、 一歩中に入るとそこはいつもの「かりゆし寄席」の世界。

いつものように秋葉シーサーズでスタートしましたが、久々にテンポよく弾けた感じで、最初 から大爆笑。次に出て来たしゃもじは彼ららしくシュールな笑いでしたが、とても短くてあれ? と思いました。後半キャン×キャンとのコラボがあったので、ここは短めだったのでしょう。

さて、次に登場した與那嶺商会。全く知らないユニット?だったのですが、お腹の皮がよじれる ほど笑いました。ここで何が面白いのか説明するのは難しいのですが、長身でモカヒン頭の店長と、 小柄で愛嬌のある顔の◎(にじゅうまる)ターシが並んで立っているだけで、何だか可笑しい。「ス タンドバイミー」など昔懐かしいポップスを歌いつつ(音楽は確かです)、ところどころ変わる歌詞や 曲の間に入るおしゃべりがめちゃくちゃ面白くて、何度も椅子から転げ落ちそうになりました。最後に 応援ダンサーも登場して歌われた「涙のワンナイト首里城」は、私の笑いのツボを見事に押さえていて、 笑った、笑った、涙を流しながら笑いました。

私の世代のウチナーンチュ、つまり今の首里城には昔大学があったこと(なんと私はその大学の首里 キャンパスに1年間通ったのです!)を知っているウチナーンチュ、かつて首里の人が首里(スイ) ダヤー(首里ののろま)と揶揄されていたことを知っている人には、たまらない可笑しさでした。昭和の ムード歌謡みたいなメロディーと振り、馬鹿馬鹿しい歌詞が醸し出す、何とも言えない可笑しさです。 会場を後にしてからも、「昔大学、今は城〜♪」と口ずさんでいました。今度は與那嶺商会の ライブに行ってみよう、と思いました。

次は、ヤマト代表として柳家紫文が登場しました。落語協会所属の三味線漫談家らしいのですが、 パステルカラーの着物にスタイリッシュに短い茶髪、眼鏡に細身の体が何とも知的でモダンでした。 三味線漫談のことはよく知らないのですが、三味線の腕は確かで、話芸もとても洗練されていると 感じました。正面2列に10名ほど、おそらく晃のおっかけとおぼしきおばさん軍団がいて、彼女たちが 落ちのたびに黄色い歓声を上げ、拍手をして派手に喜ぶのが、嬉しそうでもあり困惑しているようにも 見えて、面白かったです。

さてさて、休憩の後登場した私の今宵のお目当て、。実は與那嶺商会が自分たちの パフォーマンスの中で「学園天国」の♪ヘーイヘイヘイ、ヘーイヘーイ♪とやって会場が大いに盛り 上がり、それを心配した藤木隼人が「困ったねえ、晃は♪ホーイホイホイ、ホーイホーイ♪って歌うはずよ」 と言っていたので、舞台に登場した時は、実にやりにくそうでした。

アコースティックギター一本でフィンガー5デビュー曲の「個人授業」を歌い出しましたが、うん、普通に うまい。さすがに昔のハイトーンボイスはありませんでしたが、歌は相変わらず上手で、がっかりすること はありませんでした。ギターも上手だし、曲の合間のおしゃべりも、ちょっと沖縄のイントネーションが 入って笑わせる部分もあり、普通に面白かったです。3曲目が問題の「学園天国」でどうするかと思っていたら、 本当に♪ホーイホイホイ、ホーイホーイ♪とやっていました。いや、びっくり。晃って小生意気なガキだったけど、 器の大きい大人のボーカリストに成長したのね、と感慨深いものがありました。

4曲目に「ウチナー」という自作曲を、バックに従弟さんの三線をバックに熱唱していました。年若くして スターになると残念な大人になる例が多いのですが、晃は自分の音楽を追求し、いい感じに大人に なったなあ、と思いました。そうそう、見た目も、もう50歳だと言うのに細くて、花柄のシャツを若々しく 着こなしていて、昔のイメージを裏切ることなくグッドでした。やっぱり同世代の人がいい感じに頑張ってい るのを見るのは、癒されますね。最後にアンコールで「恋のアメリカン・フットボール」を歌ったのですが、 全く彼の予想外のことで準備していなかったらしく、楽譜を見ながらの演奏で間違ったところもあったのですが、 楽譜を見ながらここまでギターを弾き、歌えるってすごい、と感心しました。

最前列に陣取っていた晃ファンのおばさまたちは、フィンガー5の曲を歌っている間中ノリノリで、妙子に なり切って?手の振りもバッチリ揃っていました。晃のライブには欠かさず出かけ、別に沖縄好きじゃないけど 「かりゆし寄席」まで来ちゃいました、という感じで、晃ってやっぱりすごいアイドルだったのだな、と 再認識させられました。

晃の次はホームチームが解散してソロになった與座嘉秋。すごく演劇的な熱演で、頑張っていました。 ロボットのなまはげは、着眼点と動きが面白かったと思います。結婚式で娘の読む感謝の手紙を聞く父親、 というネタは、先が読めましたが、普通に楽しめました。ホームチームの時から感じていたことですが、 ネタが非常に知的で演技力があり、これからどんな芸人になっていくのか、楽しみな人ですね。

次のキャン×キャンは、しゃもじと同じくあっという間に終わってしまい、しゃも×キャン へとなだれ込んでいきます。普通に面白かったのですが、2つのコンビがユニットになって2倍面白くな ったか、というとそうではなく、1.5倍くらいで、もうちょっとパワフルな、スピード感のある展開 が欲しかったです。ちょっと辛口なのは、それだけ期待が大きいから、ですね。

終わってみると、思い切り笑って体も暖まり、大満足のかりゆし寄席でした。

3/10/12

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