今月のレビュー

このページでは、沖縄関連の本、音楽、コンサート、映画などを論評(レビュー)していきます。
今月は6月2日から8日まで中野区のGallery and Cafe,Living Bar「CHIMENKANOYA」(ちめんかのや)で 行われた宮良用範民謡ライブをレビューします。

歌う宮良用範  6月7日、「まみぞう日記」で紹介されていた宮良用範民謡ライブへ出かけた。最近の石垣島出 身の夏川りみの活躍や、友人が石垣島や西表島へ旅し魅せられたという話から、八重山への関心が高ま っていたのだ。私より先にライブに出かけた友人から「とにかく素朴。でも、古謝美佐子のような洗練 された音楽を期待するとがっかりするかも」という話を聞き、そりゃそうだ、三線一本でそんなに多く を期待しちゃいけない、と押さえ気味の期待感で出かけたが、宮良用範その人の素朴な人柄に接した瞬 間、来てよかった、楽しんで帰ろう、と思った。
内容が良かったらこの「レビュー」で取り上げようと思い、ライブ開始直前に用範さんをつかまえ名刺を 渡して、写真撮影を許可してくれるようお願いした。快く「いいですよ」というご返事。 
ポーズをとる宮良用範お礼を言って 席に戻ろうとしたら、「私の名刺ももらう?」と用範さん。このとぼけた物言いはまさしく沖縄のオヤ ジ。嬉しくてすぐ「はい!」と答えると三線を置いて軽やかに2階(3階?)へかけ上がり、名刺を持 って戻ってきた。名刺には「八重山古典音楽安室流協和会 教師」とあるが、少しはにかみながら名刺 を渡すその姿は、少年の面影を残した人のいいおじさんそのもの。注文した泡盛のグラスを持って席に 戻ると、すぐに開演となった。
楽しいライブ 始めの数曲は、私が全く知らない八重山の民謡。でも与那国島出身という女の子の笛との競演で、いい 雰囲気。用範さんの張りのある歌声を聴きながら、泡盛をすすり気持ちが良くなる。
安里屋ユンタなどは気分よく一緒に口ずさめる(左写真のフランス人‐おそらく‐も口ずさんでいた!) のだが、中盤に歌われた標準語の歌(同行した夫は「八重山ポップス」と命名。短調なのに妙な明るさ のある歌)はお手上げ。でも用範さんの周囲にいたおそらく八重山出身の人たちは皆、懐かしそうに口 ずさみ手拍子を打っていたので、八重山では皆が知っている唱歌みたいなものなのだろう。

後半は本島の民謡も歌われた。白眉は「ヒヤミカチ節」。私は沖縄民謡の大御所で早弾きの天才と言わ れる登川誠仁のアルバムでこの歌をよく聞いているが、用範さんの「ヒヤミカチ節」は3倍くらい早い。 しかもそれでも三線のリズムは崩れず音は確かで、登川誠仁をちょっと意識しているのかも、と思った が、宮良用範の唄者、三線弾きとしての心意気というかプライドが垣間見えた「ヒヤミカチ節」であっ た。

私にとって八重山の名曲と言えば「トゥバラーマ」。実は会場に来る前にリクエストも聞いてくれる、 と聞いていたので聞かれたら「トゥバラーマ」にしよう、と思っていたのだが、リクエストを聞く様子 もなく終盤になり、あきらめていたら最後の曲は「トゥバラーマ。」最高。いい歌がいっぱい聞けて、 私にとってとても楽しいライブだった。そして、八重山にはいい意味で沖縄本島と全く異なる文化があ り、風が吹いているのだろうな、という思いを強くしたライブでもあった。

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